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ねずみのよめいり

むかし、むかし、ある家に年頃の可愛らしいねずみの娘がいました。お父さん、お母さんはいつもこう思っていました。
「娘に世界で一番すばらしい花婿を見つけてやらなくては。」と。
ある日、お父さんがお母さんに、
「お母さん、一番すばらしいのは太陽だよ。いつも頭の上で照っていて明るくしてくれるから。」
と言い、二人は太陽の所へ行って頼みました。
「太陽さん、あなたは世界で一番すばらしい人です。わたしの娘と結婚してくれませんか。」
「いやいや、ねずみさん。私は世界で一番すばらしくありませんよ。一番すばらしいのは雲さんですよ。私は雲さんには隠れてしまいますよ。」と笑っていいました。
「なるほど。」
二人は雲の所へ行って頼みました。
「雲さん、あなたは世界で一番すばらしい人です。わたしの娘と結婚してくれませんか。」
「いえいえ、ねずみさん。私は世界で一番すばらしくありませんよ。一番すばらしいのは風さんですよ。私は風さんには飛ばされてしまいますよ。」と困って答えました。
「なるほど。」
二人は風の所へ行って頼みました。
「風さん、あなたは世界で一番すばらしい人です。わたしの娘と結婚してくれませんか。」
「いやいや、ねずみさん。私は世界で一番すばらしくありませんよ。一番すばらしいのは壁さんですよ。私は壁さんには止められてしまいますよ。」とくちびるを突き出して答えました。
「なるほど。」
二人は壁の所へ行って頼みました。
「壁さん、あなたは世界で一番すばらしい人です。わたしの娘と結婚してくれませんか。」
「いやいや、ねずみさん。私は世界で一番すばらしくありませんよ。一番すばらしいのはねずみさんですよ。私はねずみさんには食べられてしまいますよ。」と驚いて答えました。
「なるほど。」
二人は娘をとなりに住む素敵な若者と結婚させることにしました。
「ねずみさん、あなたは世界で一番すばらしい人です。わたしの娘と結婚してくれません。」
「喜んで。」
お父さんもお母さんも娘が結婚し幸せでした。まもなく沢山の孫に恵まれました。

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