昔話童話童謡の王国_ロゴ



トップページ童話>なぜエビの背中はまがっているのか

<<前のお話 カエルとヘビ | なぜエビの背中はまがっているのか | 次のお話 トラとキツネ>>

なぜエビの背中はまがっているのか

むかし、むかし、それは大きなワシが世界の一番高い山の頂上に住んでおり、大きな羽根を持っていることをとても自慢していました。
いつもその山の周りを飛んでいましたが、ワシより大きな鳥はいませんでした。
「何と見事な羽根を持っているんだろう。わしはこの山の辺では一番大きい。おそらく羽根を広げれば世界一大きいだろう。」
と思い、ワシはとても自信があったので大きさを他の動物と比べたくなりました。
いまこそ世界に飛び出す時だとも思い、飛び立ち、一日中海の上を飛び続けました。
まずカモメに出会い、渡り鳥の群れにも出会いましたが、どれも大きさで自分にかなうものはいませんでした。
でもそのあと見えたものは波だったので、自分より大きな動物や鳥に出会わないことに喜びを感じていました。
とても頑丈な羽根でも、さすがに疲れてきたので、日も暮れるころ、休む場所を探しました。
すると、棒のようなものが見えてたので、さっそく近くに飛んでいき、羽根をたたむと柱の上でぐっすり寝込んでしまいました。
でも眠っていると、揺りかごの中にいて揺れているようです。突然、柱が大きく揺れて、海の中に落ちそうになりました。
目が覚めると、「何と奇妙な柱だ。こんなにひどく揺れる柱の上に座ったのは初めてだ。」と叫びました。 すると、海の下から声がしました。
「そこにいるひと、それは柱じゃなくて、私の顔の先のひげですよ。私は海老というものです。」
そういうと、それは、それは大きな海老が海から顔を出しました。海老は、羽根を広げたワシよりも10倍の大きさだったので、ワシは声もかすれてしまうほど、たいそう驚きました。
「わしはあなたのような大きい海老を見たのは初めてです。あなたは世界で一番大きな生き物に違いありません。」
とワシが言うと自分の山に飛んで行ってしまいました。
海老はいつも海の中に住んでいたので、世の中のことはあまり知らず、ワシが言ったことに海老は大喜びでした。
海老は自分がワシの10倍大きいことに初めて気がつき、この世で一番大きな生き物でありたい、という願いが浮かんできました。
「ワシが言ったように、私は世界で一番大きな生き物に違いない。」
海老は今や自信に満ち溢れて、あちこちに行って自分を他の大きな生き物と比べてみたくなりました。海老は世の中をまだ見たことがありません。世界を見る最初の旅立ちでした。
海をスイスイと泳いでいき、一日中泳いでも、海老が出会ったのは小さな魚とカニくらいでした。自分より大きなものに出会わないことをうれしく思いました。旅の途中海老は疲れてきたので、休み場所を探しました。
すると手ごろな、自分の体にぴったりの穴が見つかりました。
「いい場所だわ。今夜はここでゆっくり休むことにしましょう。」海老は中に入り込むと、深い眠りに落ち入りました。
夢の中で、船の中で揺れているような感じでした。大きな揺れで、あやうく転がりそうになりました。
目が覚めて、「何と奇妙な穴なのでしょう。こんなにひどく揺れる穴の中で眠ったのは初めてだわ。」と言うと、穴の奥のほうから声が聞こえてきました。
「鼻がくすぐったいな。ここは穴じゃなくて、僕の鼻だ。君は知らないと思うが、僕はクジラというものだ。」 海老は、とても驚いて、クジラは、何と大きいのでしょう。海老の100倍はあり、とても大きくて海老はクジラの全身を見ることはとても出来ませんでした。海老は、恐る恐るこう言いました。
「あなたのような大きな生き物を見たのは初めてです。あなたこそ、世界で一番大きい生き物です。」
「ありがたきお言葉。君がそう言うなら、僕は世界一の大いのかも。」とクジラは言うとゆっくりと浮かんできて、突然潮を噴き出したので、まだクジラの鼻の中にいた海老は、吹き飛ばされ、岩に体を打ち付けてしまいました。
「痛い。背中が!」と叫びました。海老は住み慣れた故郷に戻ろうとしましたが、背中が痛くて早く泳げません。
海老の背中がいまでも曲がっているのは、そういうわけです。

<<前のお話 カエルとヘビ | なぜエビの背中はまがっているのか | 次のお話 トラとキツネ>>

ページの上部へ