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きょうとカエルとおおさかカエル
むかし、むかし、京都のかえるが大阪に向けて旅立ちました。一方、大阪のかえるが京都に向けて旅立ちました。
二匹のかえるは、京都と大阪の真ん中の高い山の上で出会いました。
「こんにちは。大阪かえるさん。どちらに行かれるのですか。」
「京都見物に行くところです。京都かえるさんは、どちらに行かれるのですか。」
「大阪見物に行くところです。」
「同じですね。」
「そうですね。同じですね。」
二匹のかえるは、笑いました。
「ところで、大阪かえるさん。ここは山のてっ辺です。大阪の町が見えますかね。」
「もちろん見えますよ。京都の町も見えますかね。」
「一緒に見ましょうか。」
大阪かえるは京都の方を、京都かえるは大阪の方を見ようとしました。
二匹のかえるはつま先で立ち上がると頭を持ち上げました。
「大阪の町が見えた。」
「京都の町が見えた。」
二匹のかえるは一緒に言いましたが、かえるの目は頭の後ろにあるので、立ち上がっても前は見えないのです。
立ち上がった二匹、京都かえるが見たものは京都でした。大阪かえるが見たものは大阪でした。
「なんだ、大阪は京都と同じだ。大阪に行ってもしょうがないな。」
「なんだ、京都は大阪と同じだ。京都に行ってもしょうがないな。」
二匹のかえるは、お別れを言うと、京都かえるは京都に、大阪かえるは大阪に、戻っていきました。
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