昔話童話童謡の王国_ロゴ



トップページ童話>ツルとカメ

<<前のお話 ゆうかんなウサギ | ツルとカメ | 次のお話 サルカニひとりぽっち>>

ツルとカメ

むかし、むかし、つるとかめは大の仲良しでした。
ある日、かめさんが池のわきで日向ぼっこをしていると、つるさんが空から降りてきました。
「かめさん、元気かい。」
「うん、元気だよ。でも君は空が飛べていいな。僕はのろく歩くだけなのに。君のように空を飛べたらなあ。」
「かめさん、お望みなら、空に連れて行ってあげるよ。口で羽根をくわえて、僕の背中にすわっているだけでいいんだよ。でも、どんなことがあっても喋っちゃだめだよ。口を開けると地面に落っこちゃうから。いいかい。」
「いいよ、絶対喋らないよ。」
かめさんは、つるさんの背中によじ登ると、口で羽根をしっかりくわえました。
「いいかい、飛びあがるよ。」
かめさんは、生まれて初めて空を飛んでいました。見るもの全てが目新しく、右や左や、上や下や、後ろや前や、あちこちを見回して、
「つるさん、空って素晴らしいね。」
と話したくなりましたが、かめさんはじっと我慢しました。
まもなく、人里の上にやってくると、子供たちが野原で遊んでいました。
「見て、つるの背中にごみがついてるよ。」
と一人の子供が言いました。
「ほんとだ。ごみがついてる。」
と別の子が、
「ごみだ。つるの背中にごみだ。」
とまた別の子が言いました。
それを聞いて、かめさんはかっとして、ついつい
「僕は、ごみじゃない。かめだ。」と喋ってしまいました。
かめさんは、つるさんからすべり落ち、地面にぶつかってしまいました。バーン!
かめさんが、こうらにひびがたくさんあるのは、こんなわけです。

<<前のお話 ゆうかんなウサギ | ツルとカメ | 次のお話 サルカニひとりぽっち>>

ページの上部へ