昔話童話童謡の王国_ロゴ



トップページ童話>てんにのぼったおとこ

<<前のお話 たのく | てんにのぼったおとこ | 次のお話 まんじゅうこわい>>

てんにのぼったおとこ

むかし、むかし一人の貧しい男が、ゴツゴツした荒地をただ同然で手に入れました。
とても使えるような所ではありませんでしたので、何とかその土地を踏み固めて一儲けしたいと思っておりました。
ある日、男はこんな看板を立てました。
『我はこの世に飽きたので、明日畑ではしごを登って天に行くなり。』
それからしばらくすると、大勢の人が男の畑に集まり、今か今かと男が空に登って行くのを待っていました。
畑にはもう人があふれんばかりでした。その真ん中に看板を立てた男がいました。
男は挨拶をすると、さっそくはしごの踏み板を登り始めました。
姿がどんどん小さくなってきた時、誰かが叫びました。
「あぶねえ。あぶねえ。降りて来い。」
これを聞くと、男は登るのを止めてはしごを降りはじめ、畑に下り立ち、こう言いました。
「止めてくれてありがとう。実はとても怖かった。天に昇るのは無理じゃ。」
そう言うと、男は家に帰って行きました。
村人たちは「だまされた」とわかりました。
こうして、ゴツゴツした荒地は村人に踏み固められ、立派な平らな土地になりました。

<<前のお話 たのく | てんにのぼったおとこ | 次のお話 まんじゅうこわい>>

ページの上部へ