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かためのろうじん
むかし、むかし、ある所におじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんの左目はつぶれて見えませんでした。
ある日の夕方、おじいさんが仕事から戻ってきました。
「おばあさん、戻ったよ。」
「おじいさん。ごくろうさまでした。疲れたでしょう。ご飯にしますか。お風呂にしますか。」
おばあさんは、おじいさんの左目ではなく、右目がつぶれているのを見て驚きました。
「これは、おじいさんではなくて、きつねだわ。」とおばあさんはすぐに気付き、いい考えが浮かんで、おばあさんはきつねに言いました。
「おじいさん。お酒を飲みますよね。沢山飲んで、いつものように米袋の中に入りますよね。」
「もちろん。そうするよ。」
お酒を大そう飲むと、きつねは米袋の中に入りました。
「おじいさん。袋を縛りますよね。」
「もちろん。そうするよ。」きつねは、いとも簡単に袋の中に閉じ込められてしまいました。
まもなく左目のつぶれた本物のおじいさんが帰ってきて、きつねは山へ返されました。
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